技能実習と異なり、特定技能は同一分野内であれば、外国人本人の意思で転職することが認められています。せっかく育成した人材が他社に移ってしまうのではないか、という不安の声を、採用担当者からよく耳にします。
この記事では、特定技能外国人が転職する際の手続きの仕組みと、受入企業として備えておきたいことを整理します。
この記事で分かること
- 特定技能外国人が転職する際に必要な手続き
- 転職時に、受入企業(転職元)が行うべき届出
- 転職を受け入れる企業(転職先)に求められること
- 転職リスクに備えるための考え方
転職には在留資格変更許可申請が必要
特定技能外国人が受入れ機関や分野を変更して転職する場合、単に届出をすれば済むわけではなく、在留資格「特定技能」の変更許可申請を行う必要があります。転職先の企業が、受入れ機関としての基準(第19回で解説)を満たしていることや、報酬の同等性(第21回で解説)などが、改めて審査されることになります。
同じ分野・同じ業務区分への転職であれば技能試験の再受験は不要ですが、審査自体は新たに行われるため、転職がすぐに完了するわけではない点に注意が必要です。
転職元の企業が行うべき届出
特定技能外国人が離職する場合、雇用していた企業(特定技能所属機関)は、特定技能雇用契約が終了したことについて、事由が生じた日から14日以内に届出を行う必要があります。届出を怠ると、指導や罰則の対象になり得るため、退職の意向を把握した段階で早めに準備を進めることが重要です。
また、受入れが困難になった場合(人員整理等)は、義務的支援の一つとして、転職先を探す手伝いや推薦状の作成などの転職支援を行う必要があります(第20回で解説した支援計画の項目の一つです)。
転職リスクに備えるための考え方
転職そのものを完全に防ぐことはできませんが、日頃からの労働条件・職場環境の整備が、転職の抑止につながります。報酬の同等性を継続的に確認すること、相談・苦情への対応窓口を機能させること、日本人従業員との交流を促進することなど、義務的支援として求められている取り組みは、そのまま定着率の向上にもつながります。
長期的な定着施策については、第49回で改めて取り上げます。
実務でよくある相談
「特定技能で採用した人材が、他社から声をかけられているようだ」というご相談を受けることがあります。転職自体を止めることはできませんが、労働条件の見直しや、日頃のコミュニケーションの改善によって、転職に至る前に対応できる余地があるケースも少なくありません。
まとめ
特定技能外国人は、同一分野内であれば在留資格変更許可申請を経て転職することができます。転職元の企業には期限内の届出義務があり、転職を防ぐには、日頃の労働条件・職場環境の整備が有効です。転職の仕組みを正しく理解したうえで、定着に向けた取り組みを進めることが重要です。
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出典・参考資料
- 特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出(出入国在留管理庁)|https://www.moj.go.jp/isa/nyuukokukanri07_00187.html
- 特定技能制度に関するQ&A(出入国在留管理庁)|https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/faq.html
執筆者プロフィール
本記事は行政書士法人HAL大阪のスタッフが執筆・監修しています。外国人人材の在留資格や採用手続きに関する実務知見をもとに、正確でわかりやすい情報の発信を心がけています。
最終更新日:2026年10月19日

