技人国での採用を検討しているが、候補者の学歴と担当させたい業務がどこまで関連していれば認められるのか、判断がつかない。大学卒業者と専門学校卒業者とで扱いが違うと聞き、確認したいという相談も増えています。
学歴要件を誤って見積もると、内定を出した後に在留資格の要件を満たさないことが判明し、採用計画が振り出しに戻ってしまうこともあります。
この記事では、出入国在留管理庁が示す学歴要件の考え方を、学校の種類ごとに整理します。
本記事は行政書士法人HAL大阪のスタッフが、出入国在留管理庁の公表資料をもとに執筆・監修しています。
この記事で分かること
- 技人国の学歴要件が問うているものは何か
- 大学卒業者と専修学校卒業者とで判断基準がどう違うか
- 実務研修期間として認められる働かせ方の範囲
- 2026年4月の運用明確化で整理された内容
学歴要件が問うているのは「学歴そのもの」ではない
技人国の学歴要件は、単に大学や専門学校を卒業していることを求めているわけではありません。問われているのは、学校で専攻した科目と、実際に従事する業務内容との関連性です。
出入国在留管理庁の考え方では、技人国は「学術上の素養を背景とする一定水準以上の業務」に従事する人材を対象とする在留資格と位置づけられています。専攻内容と無関係な業務に就かせる場合、学歴要件を満たしていても在留資格自体が認められません。
大学卒業者 ― 関連性は比較的緩やかに判断される
大学(大学院・短期大学を含む)における専攻科目と、従事しようとする業務との関連性については、出入国在留管理庁は従来より柔軟に判断するとしています。
例えば経済学部を卒業した人材が経理や営業企画の業務に従事する場合のように、学部と業務の対応関係が完全に一致していなくても、教育機関としての性格を踏まえて比較的緩やかに関連性が認められる傾向があります。
専修学校(専門学校)卒業者 ― 原則として相当程度の関連性が必要
一方、専修学校の専門課程を卒業した人材については、扱いが異なります。原則として、専攻科目と従事しようとする業務との間に相当程度の関連性が必要とされます。
ただし、企業と連携した実習カリキュラムや日本社会についての理解など、一定の基準を満たすものとして認定された専修学校の専門課程(認定専修学校専門課程)を修了した人材については、関連性を柔軟に判断することとされています。専門学校卒業予定者の採用を検討する場合、その学校・学科が認定を受けているかどうかで判断のしやすさが変わります。
実務研修期間はどこまで認められるか
新卒採用の直後は、専攻内容と直接結びつかない業務を経験させる期間が生じることがあります。出入国在留管理庁は、日本人の大卒社員等に対しても同様に行われる実務研修の一環であれば、これを認めるとしています。
ポイントは、在留期間中の活動を全体として捉えたときに、実務研修が在留期間の大半を占めるものになっていないことです。ここでいう「在留期間中」は、1回の許可で決定される在留期間だけでなく、雇用契約や研修計画から想定される今後の在留期間全体を指すとされています。採用から1年を超えて実務研修を続ける場合は、研修計画の提出を求められ、期間の合理性が審査されます。また、日本語研修目的など合理的な理由がない限り、外国人社員だけに研修期間が長く設定されている場合は認められません。
ホテル・旅館業務を例に見る当てはめ方
出入国在留管理庁は、ホテル・旅館等での就労について、業種別の考え方を別紙で示しています。フロント業務や外国人観光客向けの施設案内、通訳・翻訳、広報・宣伝といった業務は、学問的・体系的な技術や知識を要する業務として認められる一方、荷物運搬や清掃が主たる活動になる場合は認められません。
学歴面では、関連する科目を専攻して大学を卒業した場合に加え、関連科目を専攻して専修学校の専門課程を修了し専門士・高度専門士の称号を得た場合、または10年以上の実務経験がある場合のいずれかが基準とされています。語学力を活かした通訳・翻訳等の業務では、大学卒業者が翻訳・通訳・語学指導に従事する場合を除き、3年以上の実務経験も求められます。自社の業種に近い考え方として参考になります。
候補者の学歴と職務内容が要件を満たすか、判断に迷う場合はお気軽にご相談ください。
2026年4月の運用明確化で整理されたこと
出入国在留管理庁は2026年4月15日、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等についてを一部改正し、実務研修に関する別紙1、ホテル・旅館業に関する別紙5の記載内容を更新しました。あわせて、言語能力を用いる対人業務の扱いを示す別紙4を新たに公表しています。
学歴要件そのものの骨格(大学は柔軟に、専修学校は原則相当程度の関連性を要する、という判断基準)に大きな変更があったわけではありませんが、実務研修の考え方やホテル業のような具体的な業種における当てはめ方が、この改正であらためて整理されました。自社の採用予定者が学歴要件を満たすかどうかを確認する際は、最新版の資料に基づいて判断することが重要です。
実務でよくある相談
専門学校卒業予定の留学生を採用しようとしたところ、専攻科目と配属予定の業務との関連性が薄いのではないかという懸念から、ご相談をいただいたことがあります。学校に確認したところ、企業連携実習を含む認定専修学校専門課程の卒業生であることが分かり、柔軟な判断の対象になり得ることを確認できました。学歴だけで諦めず、学校の認定状況まで確認する価値があります。
この記事のまとめ
- 学歴要件は学歴そのものではなく、専攻内容と業務内容の関連性を問うもの
- 大学卒業者は比較的柔軟に、専修学校卒業者は原則として相当程度の関連性が必要(認定専修学校は柔軟)
- 実務研修は在留期間の大半を占めない範囲で認められる
よくある質問
大学院卒の場合、学部時代の専攻と業務が関連していれば大丈夫ですか?
大学院での専攻を含めて判断されます。学部と業務内容が直接一致しなくても、大学教育全体としての関連性が考慮されます。
専門学校卒業者は専門士・高度専門士の資格がないと申請できませんか?
学校の種類や業務内容によって扱いが異なります。認定専修学校専門課程の修了状況や、実務経験の有無なども含めて総合的に判断されるため、個別の確認が必要です。
実務経験だけで学歴要件を満たすことはできますか?
業務内容によっては、一定年数の実務経験をもって学歴要件に代える扱いが認められる場合があります。ホテル業の例のように、業種ごとの考え方が示されているケースもあります。
新卒採用の場合、入社直後の研修期間はどう扱われますか?
日本人社員と同様の実務研修であれば認められますが、在留期間の大半を研修に充てる場合は、研修計画の提出など追加の説明が求められることがあります。
候補者の学歴・専攻内容が要件に当てはまるかどうか、書類を確認する前の段階からご相談いただけます。
外国人人材の雇用、まずはご相談ください
制度選びや手続きでお困りの際は、下記の問い合わせフォームより承っております。担当の行政書士が内容を確認のうえ、折り返しご連絡いたします。
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出典・参考資料
- 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について(出入国在留管理庁)|https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan69.html
- 別紙1(「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で許容される実務研修について)(出入国在留管理庁)|https://www.moj.go.jp/isa/content/001413640.pdf
- 別紙5(ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について)(出入国在留管理庁)|https://www.moj.go.jp/isa/content/001413644.pdf
執筆者プロフィール
本記事は行政書士法人HAL大阪のスタッフが執筆・監修しています。外国人人材の在留資格や採用手続きに関する実務知見をもとに、正確でわかりやすい情報の発信を心がけています。
最終更新日:〈公開日確定後に記入〉

