雇用契約書・労働条件通知書 ― 外国人雇用で追加すべき条項

外国人材を雇用する際の雇用契約書・労働条件通知書は、日本人従業員向けの様式をそのまま流用すると、後々のトラブルにつながることがあります。在留資格の在留期間や就労制限を前提とした条項を、あらかじめ盛り込んでおくことが重要です。

この記事では、外国人雇用で追加を検討したい条項を整理します。

この記事で分かること

  • 労働条件通知書に共通して求められる記載事項
  • 在留資格を前提とした条項の追加ポイント
  • 母国語併記の必要性と実務上の対応
  • 特定技能・育成就労で特に注意すべき条項
  • 契約書と実際の在留資格申請の整合性
目次

労働条件通知書に共通して求められる記載事項

労働基準法および同法施行規則第5条に基づき、契約期間、有期契約の更新基準、就業場所・従事すべき業務(その変更の範囲を含む)、始業・終業時刻や休日、賃金、退職(解雇の事由を含む)に関する事項などを明示する必要があり、このうち主な事項は書面の交付で行うこととされています(労働者が希望した場合は、FAXや、出力して書面にできる電子メール等も可)。これは外国人・日本人を問わない共通のルールですが、外国人材の場合は、これに加えて在留資格を前提とした条項を意識する必要があります。

在留資格を前提とした条項の追加ポイント

  • 在留資格の取得・更新ができなかった場合に契約がどうなるかを明記する(在留資格の取得・更新を停止条件・解除条件とする条項)
  • 想定している職務内容が、対象の在留資格の許可要件と整合していることを確認する
  • 在留期間の満了時期を踏まえた契約期間の設定(在留期間を超える契約期間を設定していないか)

在留資格が取得・更新できなかった場合の扱いをあらかじめ明記しておくことで、後のトラブルを防ぎやすくなります。

母国語併記の必要性

外国人雇用管理指針では、母国語その他の外国人が使用する言語または平易な日本語を用いるなど、外国人労働者が理解できる方法で労働条件を明示するよう努めることとされています。日本語の理解度によっては、契約内容を母国語や平易な日本語で併記する、または通訳を交えて説明するといった配慮が実務上重要です。特に、賃金の計算方法や控除項目など、誤解が生じやすい部分は丁寧な説明を心がける必要があります。

特定技能・育成就労で特に注意すべき条項

特定技能では、受入れ機関の基準として、雇用契約における報酬の額や労働時間等が日本人と同等以上であることが求められており、契約書上の賃金額が、比較対象となる日本人従業員の賃金水準と整合していることが求められます。育成就労制度(2027年4月1日運用開始)では、契約内容の定め方について、運用要領等の最新の情報を確認する必要があります。いずれも、在留資格の要件と契約内容が食い違わないよう、事前の確認が欠かせません。

契約書と在留資格申請の整合性

雇用契約書・労働条件通知書は、在留資格の申請書類として提出することもあるため、記載内容が申請書の職務内容説明書等と矛盾していないかを確認する必要があります。契約書の内容を先に固めてから在留資格の申請書類を作成するのではなく、両者を並行して整合性を確認しながら進めることをお勧めします。

実務でよくある相談
「日本人従業員用のひな形をそのまま使ってしまい、後で在留資格の条項が抜けていることに気づいた」というご相談をいただくことがあります。外国人材専用のひな形を用意しておくことで、こうした抜け漏れを防ぎやすくなります。

まとめ

外国人材の雇用契約書・労働条件通知書は、日本人向けの様式をそのまま使うのではなく、在留資格の取得・更新を前提とした条項をあらかじめ盛り込んでおくことが重要です。母国語併記など、理解を助ける配慮もあわせて検討することをお勧めします。

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出典・参考資料

  • 特定技能制度における雇用における注意点(出入国在留管理庁)|https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/chuui.html
  • 本記事は労働基準法上の一般的な実務知見に基づく実務ノウハウ記事です。労働条件通知書の様式・記載事項の詳細は、社会保険労務士等にあわせてご相談ください。

執筆者プロフィール

本記事は行政書士法人HAL大阪のスタッフが執筆・監修しています。外国人人材の在留資格や採用手続きに関する実務知見をもとに、正確でわかりやすい情報の発信を心がけています。

最終更新日:2026年11月1日

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この記事を書いた人

岐阜・大阪・名古屋に拠点を構え、「できない」ではなく「どうすればできるか」を徹底的に考える行政書士法人。建設業許可や産業廃棄物許可などの許認可申請、太陽光発電施設の名義変更、外国人ビザ申請(実績1,000件超)を中心に、複雑な行政手続きをワンストップでサポートしています。

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