技能実習生を受け入れながら、特定技能や技人国でも人材を採用している。育成就労への移行も視野に入れている。複数の制度を組み合わせて外国人材を受け入れる企業が増えています。
在留資格ごとに求められる管理の中身は異なります。同じ職場で複数の在留資格が混在すると、どの資格にどの管理が必要なのかが見えにくくなり、管理漏れが起きやすくなります。
この記事では、複数の在留資格が混在する職場でつまずきやすい点と、管理体制を整えるための考え方を整理します。
本記事は行政書士法人HAL大阪のスタッフが執筆・監修しています。
この記事で分かること
- 複数の在留資格が混在する職場が増えている背景
- 在留資格ごとに管理すべきポイントの違い
- 現場でありがちな管理ミス
- 一元管理のための実務対応
複数の在留資格が混在する職場が増えている背景
これまでの記事(第5回)で見てきたとおり、外国人材の受入れ制度には、技術・人文知識・国際業務(技人国)、特定技能、育成就労(技能実習からの移行)、身分系など複数の選択肢があります。
かつては1社が1つの制度だけを利用するケースが中心でしたが、人手不足が続く現場では、現場業務は特定技能、専門職は技人国、将来的な戦力育成は育成就労、というように複数の制度を組み合わせて人材を確保する企業が増えています。制度ごとに対象業務・支援義務・在留期間の考え方が異なるため、この組み合わせが、管理面での複雑さにつながっています。
在留資格ごとに管理すべきポイントの違い
在留資格が違えば、企業が管理すべきポイントも変わります。
- 技人国:業務内容が専門性を要するものであり続けているか。配置転換や職務変更があった場合、在留資格の範囲内かどうかの確認が必要です(第10回参照)。
- 特定技能:1号特定技能外国人支援計画に基づく支援の実施記録、分野別協議会への加入状況など、支援義務に関する書類の整備が必要です。
- 育成就労(技能実習からの移行を含む):育成就労計画に基づく育成の実施状況、監理支援機関との連携状況の管理が必要です。
- 身分系(永住者、日本人の配偶者等など):就労内容に制限がないため、他の在留資格のような業務範囲の管理は不要です。
同じ「外国人材の受入れ」であっても、管理すべき書類や確認の頻度は在留資格ごとにまったく異なります。人事担当者が全ての制度の管理ポイントを個別に把握しておく必要があります。
現場でありがちな管理ミス
複数の在留資格が混在する職場では、次のような管理ミスが起こりやすくなります。
- 技人国で採用した人材を、人手が足りない現場業務に一時的に応援として入れてしまい、業務内容が在留資格の範囲を超えてしまう
- 特定技能の支援記録や、協議会への定期報告を、他の制度の管理業務に紛れて失念してしまう
- 技能実習生と技人国採用者を同じ研修プログラムで扱ってしまい、技人国側の実務研修の合理性(第10回参照)が説明しにくくなる
- 在留資格の種類ごとに管理表が分かれておらず、更新期限や必要書類の状況を一覧で把握できていない
これらは、いずれも制度ごとの管理ポイントの違いを認識していれば防げるものです。逆に言えば、複数制度が混在するほど、管理体制を意識的に整えておく必要性が高くなります。
一元管理のための実務対応
複数の在留資格を抱える企業では、次のような対応が有効です。
- 全従業員の在留資格の種類・在留期限・資格外活動許可の有無を、一つの管理表にまとめる(在留カードの記載内容をもとに作成)
- 在留資格ごとに、確認すべき書類・更新の頻度・担当窓口(監理支援機関、登録支援機関など)を整理し、誰が見ても分かる形にしておく
- 配置転換や応援勤務を行う際は、対象者の在留資格を必ず確認するルールを、現場の管理者にも周知する
- 在留期限が近い人材については、資格の種類にかかわらず横断的にアラートが出る仕組みを持つ
制度が複雑になるほど、属人的な管理では抜け漏れが生じやすくなります。管理表やチェック体制を整えることが、結果的にトラブルの予防につながります。
複数の在留資格が混在する職場の管理体制について、整理のお手伝いができます。お気軽にご相談ください。
実務でよくある相談
技能実習生と技人国採用者の両方を受け入れている企業から、在留期限の管理が煩雑になっているというご相談を受けたことがあります。実際に確認すると、在留資格ごとに別々の担当者が管理表を作っており、全体を横断して見られる資料がありませんでした。全従業員分を1つの管理表に統合し、資格の種類ごとに確認事項を整理したところ、更新漏れのリスクを大きく減らすことができました。
この記事のまとめ
- 複数の在留資格を組み合わせて外国人材を受け入れる企業が増えている
- 在留資格ごとに管理すべきポイントが異なり、混在する職場では管理漏れが起きやすい
- 全従業員分を横断できる管理表と、資格ごとの確認ルールを整えることが対策になる
よくある質問
複数の在留資格を一つの管理表で管理する方法はありますか?
在留カードの記載内容(在留資格の種類・在留期限・資格外活動許可の有無)をもとに、全従業員分を一覧化する方法が有効です。資格ごとに追加で確認すべき書類は、別途チェックリスト化しておくとよいでしょう。
技能実習生と技人国採用者を同じ部署に配置しても問題ありませんか?
配置自体に制限があるわけではありませんが、技人国採用者の業務内容が専門性を要するものであり続けているかは、別途確認が必要です。同じ研修プログラムで扱うと、実務研修の位置づけが説明しにくくなることがあります。
在留資格ごとに担当者を分けるべきですか?
企業の規模によります。担当者を分ける場合でも、全体を横断して確認できる管理表を別途用意しておくことをおすすめします。
外部の専門家に管理を依頼するメリットは何ですか?
在留資格ごとに異なる確認事項や更新のタイミングを一元的に把握できる点が大きなメリットです。複数制度を併用する企業ほど、外部の専門家との連携が有効です。
自社で複数の在留資格を扱っている場合の管理体制について、現状を伺ったうえでご提案します。
外国人人材の雇用、まずはご相談ください
制度選びや手続きでお困りの際は、下記の問い合わせフォームより承っております。担当の行政書士が内容を確認のうえ、折り返しご連絡いたします。
下記URLからお問い合わせフォームにアクセスできます。
https://www.hal-ulala.jp/foreigner/
出典・参考資料
- 在留資格一覧表(出入国在留管理庁)|https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/qaq5.html
執筆者プロフィール
本記事は行政書士法人HAL大阪のスタッフが執筆・監修しています。外国人人材の在留資格や採用手続きに関する実務知見をもとに、正確でわかりやすい情報の発信を心がけています。
最終更新日:2026年10月7日

