障害福祉事業所では、職員の勤務状況を勤務表などで管理しています。
勤務表は、単に「誰がいつ勤務するか」を確認するためのシフト表ではありません。
人員基準を満たしているか、算定している加算の要件を満たしているかなどを確認するうえでも重要な資料です。
また、運営指導では、勤務表だけでなくタイムカードなどの実際の勤務状況が分かる資料と照らし合わせて確認されることもあります。
今回は、行政書士法人HALが普段の業務で勤務表を確認するときのポイントや、運営指導で確認される勤務実績について解説します。
1.勤務表は「人員基準を満たしているか」を確認するための重要な資料
HALが事業所の勤務表を確認するとき、まず見るのが人員基準を満たしているかという点です。
具体的には、次のような項目を確認します。
- 管理者・サービス管理責任者などの配置
- 常勤・非常勤の区分
- 勤務時間数
- 他事業所との兼務
- 同じ時間帯に複数の職種を兼ねていないか
障害福祉サービスでは、サービスの種類によって必要な職員配置や勤務時間などの基準が定められています。
そのため、勤務表を作成しただけで終わりではなく、その勤務表で必要な人員配置が確保されているかを確認することが大切です。
2.算定している加算の要件も勤務表から確認する
勤務表を確認するときには、人員基準だけでなく、事業所が算定している加算の要件を満たしているかも確認します。
例えば、加算の算定に一定の職員配置や勤務時間などが関係する場合、勤務表上でその要件を満たしているかを確認する必要があります。
「加算を届け出ているから大丈夫」ではなく、
実際の勤務予定が、算定する加算の要件を満たす内容になっているか
という視点で勤務表を見ることが重要です。
3.事業所によって勤務表の形式はさまざま
実際に事業所から勤務表を受け取ると、事業所ごとに使用している様式や記載方法が異なることがあります。
そのため、HALでは、事業所から勤務表のデータをいただいたうえで、行政が公開している勤務表の様式などに入れ直してから確認することもあります。
勤務表は、形式そのものが問題というよりも、必要な情報が確認できることが重要です。
ただ、事業所ごとに異なる形式の勤務表をそのまま確認するよりも、一定の様式に整理することで、人員配置や勤務時間などを確認しやすくなる場合があります。
4.「予定の勤務表」と「実績の勤務表」は別のもの
勤務表を確認するときに、意識しておきたいのが予定と実績の違いです。
予定の勤務表は、これからどの職員がどの時間帯に勤務する予定なのかを表したものです。
一方、実績の勤務表は、実際にどのような勤務になったのかを記録したものです。
実際の勤務では、
- 急な休みが発生した
- 職員の勤務時間が変更になった
- 他の事業所へ応援に行った
など、当初の予定から変更が生じることがあります。
そのため、予定どおりの勤務にならないこと自体は珍しいことではありません。
大切なのは、予定と実績を混同せず、実際の勤務状況についても確認できるようにしておくことです。
5.運営指導では「実際の勤務」と照らし合わせて確認されることも
今回、HALが実際に立ち会った運営指導でも、勤務表とタイムカードを照らし合わせる確認が行われました。
運営指導が行われたのは、日中支援型の共同生活援助事業所です。
行政の担当者は、勤務表を確認したうえで、実際の勤務時間が記録されたタイムカードとも照らし合わせていました。
今回のケースでは、勤務表よりもタイムカードのほうが長い勤務時間になっている職員がいました。
これについて事業所側から、
「系列の事業所へ応援に行っていたため」
という説明がありました。
このように、勤務表と実際の勤務記録に違いがある場合には、なぜ違いが生じているのかを説明できることも重要です。
勤務表だけでは分からない実際の勤務状況について、タイムカードなどの記録と合わせて確認されることがあります。
6.運営指導や行政への提出を求められたときは、実績勤務表を確認することも
HALでは、普段の顧問業務では主に予定の勤務表を確認しています。
一方で、顧問先から、
「運営指導があるので、この月の勤務表を確認してほしい」
「行政からこの月の勤務実績の提出を求められた」
といった依頼を受けることもあります。
このような場合には、指定された月の実績の勤務表を確認することがあります。
ここで重要なのは、
予定は予定、実績は実績として分けて考えること。
予定の勤務表では人員配置や加算の要件を確認し、実績の勤務表では、実際にどのような勤務が行われたのかを確認します。
7.勤務表だけでなく、関連する記録との整合性も確認する
勤務表を確認するときには、勤務表だけを見ればよいとは限りません。
運営指導などでは、勤務表とタイムカードなど、複数の記録を照らし合わせて確認されることがあります。
そのため、
- 勤務表
- タイムカードなどの勤務実績が分かる記録
- 職員の資格・研修に関する記録
- 雇用関係の書類
- 加算の届出内容
など、それぞれの記録が実際の勤務状況と矛盾していないかを確認することが大切です。
特に、勤務表上では必要な職員配置が確保されていても、実際の勤務がそれと異なっていれば、別途確認が必要になる場合があります。
8.事業所で確認しておきたい勤務表のチェックポイント
勤務表を作成したら、まず次の項目を確認してみましょう。
人員配置
□ 管理者・サービス管理責任者などが適切に配置されているか
□ 必要な職員数を確保できているか
□ 常勤・非常勤の区分に誤りがないか
勤務時間
□ 必要な勤務時間数を確保できているか
□ 他事業所との兼務状況を把握できているか
□ 同じ時間帯に複数の職種を兼務するような配置になっていないか
加算
□ 算定している加算の要件を勤務予定が満たしているか
□ 職員配置や勤務時間が加算の要件と合っているか
実績
□ 予定と実際の勤務に変更があった場合、その実績を確認できるか
□ タイムカードなどの勤務記録と勤務表の内容を確認できるか
□ 勤務表と実際の勤務状況に違いがある場合、その理由を説明できるか
まとめ
勤務表は、単に職員のシフトを管理するためのものではありません。
人員基準を満たしているか、算定している加算の要件を満たしているかを確認するための重要な資料です。
また、運営指導では、勤務表だけではなく、タイムカードなどの実際の勤務記録と照らし合わせて確認されることもあります。
そのため、
「予定の勤務表」だけでなく、「実際にはどのように勤務したのか」も確認できる状態にしておくことが大切です。
勤務表を作成するときは、作成して終わりではなく、人員基準や加算の要件を満たしているか、そして実際の勤務状況と整合しているかという視点で確認してみましょう。
行政書士法人HALでは、障害福祉事業所の人員配置や加算に関する確認、各種行政手続きなどをサポートしています。
次回のコラムでは
次回は、今回のテーマとも関連する「運営指導」について、別の具体的な確認ポイントを取り上げる予定です。
運営指導では、勤務表以外にも、研修記録や議事録、BCP、虐待防止・身体拘束に関する記録など、さまざまな書類や実際の運営状況が確認されます。
事業所が事前に確認しておきたいポイントを、引き続き分かりやすく解説していきます。
行政書士法人HALでは、障害福祉・障害児通所支援事業所の指定申請や変更手続き、各種加算に関する手続きなど、事業所の状況を確認し、必要な手続きや行政への確認についてサポートいたします。福祉事業者様の行政手続きをサポートしています。
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