はじめに
前回のコラムでは、「虐待防止措置未実施減算」について、虐待が発生していない場合でも、必要な虐待防止措置を実施していなければ減算の対象となることについて解説しました。
その中でも、虐待防止措置の一つとして挙げられているのが「虐待防止委員会」です。
「委員会」と聞くと、
・何人くらいで構成すればいいの?
・小規模な事業所でも大がかりなものが必要?
・どのくらいの頻度で開催するの?
・何を話し合えばいいの?
と疑問に思われる事業所もあるのではないでしょうか。
今回は、小規模な事業所でも押さえておきたい、虐待防止委員会の開催・運営のポイントについて、分かりやすく整理して解説します。
虐待防止委員会とは?
虐待防止委員会は、事業所や法人における虐待防止の取組について検討し、必要な対応につなげていくための仕組みです。
虐待防止委員会では、例えば次のような内容について検討します。
・虐待防止に向けた研修計画
・職員のストレスマネジメント
・苦情解決
・虐待防止に関するチェックリストの集計・分析
・問題があった場合の再発防止策
・事故対応の振り返り
・他の事業所との連携
・身体拘束の適正化に関する検討
単に「委員会を開催する」ことが目的ではなく、日頃の事業所運営の中で虐待を防ぐために必要なことを検討する場として活用することが重要です。
小規模な事業所でも大丈夫?「法人単位」での設置も
「うちは職員数が少ないから、委員会を作るのは難しいのでは?」
と考える方もいるかもしれません。
しかし、虐待防止委員会は、必ずしも事業所ごとに大人数で設置する必要はありません。
法人単位で委員会を設置する方法もあります。
法人内に複数の事業所がある場合には、法人として虐待防止委員会を設置し、各事業所と連携しながら虐待防止の取組を進める方法も考えられます。
また、委員会については、管理者と虐待防止の担当者が参加することを基本とし、必要な人数について一律の定めはありません。
そのため、事業所の規模や体制に合わせて、無理なく継続できる形を考えることが大切です。
既存の会議と合わせて開催する方法も
虐待防止委員会のためだけに、新しい会議を毎回設定するのが難しい場合もあります。
そのような場合には、
・ケース会議
・職員会議
・その他の既存の会議
などと合わせて開催する方法もあります。
例えば、普段から行っている職員会議の中で、
「最近、職員間で気になっている対応はないか」
「利用者への声かけや支援方法に問題はないか」
「ヒヤリ・ハット事例はなかったか」
など、虐待防止につながる内容を検討する時間を設けることもできます。
大切なのは、「委員会を開催すること」だけを目的にするのではなく、実際の支援や事業所運営の改善につなげることです。
オンラインでの開催や、他の事業所との合同開催も
事業所の状況によっては、オンラインで委員会を開催することもできます。
また、第三者に参加してもらう場合も、必ずしも弁護士などの専門家だけに限られるわけではなく、地域の他の障害福祉サービス事業所などと連携する方法もあります。
小規模な事業所では、自法人だけで全てを準備するのではなく、他の事業所と合同で研修や委員会を行うなど、外部との連携を活用することも一つの方法です。
「開催した」だけで終わらせないことが大切
虐待防止委員会については、開催することそのものが目的になってしまわないよう注意が必要です。
例えば、
「年に1回、委員会を開催した」
「とりあえず研修を実施した」
というだけではなく、
そこで何を検討し、どのような取組につなげたのか
という視点が重要です。
委員会で検討した内容については、職員へ周知し、実際の支援や事業所運営に反映していくことが求められます。
例えば、委員会で「利用者への声かけについて見直す必要がある」となったのであれば、その内容を職員間で共有し、日頃の支援で意識していくといった流れです。
虐待防止委員会を運営する際の確認ポイント
小規模な事業所の場合、まずは次のような点を確認してみましょう。
□ 虐待防止委員会を定期的に開催しているか
□ 委員会で検討した内容を職員へ周知しているか
□ 虐待防止に関する研修を計画的に実施しているか
□ 日頃の支援について振り返る機会を設けているか
□ 問題や気になる事例があった場合に、再発防止について検討しているか
□ 事業所の規模に合った、無理なく継続できる体制になっているか
「委員会を設置したから終わり」ではなく、虐待を防ぐための仕組みとして実際に機能しているかを確認することが大切です。
まとめ
虐待防止委員会というと、大人数の委員を集めて開催するようなイメージを持つかもしれません。
しかし、法人単位での設置や、既存の会議との合同開催、オンラインでの開催など、事業所の規模や体制に合わせた運営方法があります。
特に小規模な事業所では、最初から大がかりな仕組みを作るのではなく、現在行っている職員会議やケース会議なども活用しながら、虐待防止について継続的に考える仕組みを作ることがポイントです。
前回のコラムで解説した「虐待防止措置未実施減算」を防ぐためにも、現在の虐待防止委員会の運営方法について、一度確認してみてはいかがでしょうか。
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