障害福祉の運営指導では何を見られる?事業所が事前に確認しておきたいポイント

障害福祉サービス事業所を運営していると、「運営指導では、実際にどんなところを見られるの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。

運営指導というと、書類がきちんとそろっているかを確認されるイメージがあるかもしれません。

しかし、実際の運営指導では、書類があるかどうかだけではなく、書類の内容と実際の事業所の運営が一致しているかという点も確認されます。

今回は、行政書士法人HALが実際に参加した運営指導で確認されていた内容をもとに、事業所が事前に確認しておきたいポイントを分かりやすく解説します。

※今回ご紹介する内容は、実際に参加した運営指導の一例です。確認される内容や指摘事項は、自治体や事業所の状況等によって異なる場合があります。


目次

運営指導では、どのようなことを確認される?

今回参加したのは、日中支援型の共同生活援助の運営指導です。

当日は行政から2名の担当者が来られ、約2時間にわたって、さまざまな項目が確認されました。

確認されていた内容は、次のようなものです。

  • 職員の勤務状況
  • 資格証・研修修了証
  • 雇用契約書
  • 利用者数
  • 加算の算定状況
  • 研修・会議の実施状況
  • BCPに関する取り組み
  • 虐待防止・身体拘束に関する取り組み
  • ヒヤリハット
  • 利用者の受給者証
  • 個別支援計画
  • 運営規程と重要事項説明書の整合性

それでは、実際にどのような確認が行われていたのか、項目ごとに見ていきましょう。


勤務表と実際の勤務状況が一致しているか

運営指導では、職員の勤務状況についても確認されます。

今回の運営指導では、担当者の一人が勤務表とタイムカードを照らし合わせ、勤務表に記載されている時間どおりに実際の勤務が行われているかを確認していました。

また、資格証や研修修了証、雇用契約書などについても確認が行われていました。

勤務表を作成しているだけではなく、

  • 勤務表に記載されている勤務時間
  • タイムカード等に記録されている実際の勤務時間

に相違がないか、日頃から確認しておくことが大切です。


過去の勤務状況や利用者数、加算についても確認

今回の運営指導では、事前に事業所が提出していた確認資料をもとに、6月の勤務表1か月分を対象として確認が行われていました。

運営指導自体は9月に実施されましたが、当日の勤務表だけを確認するのではなく、事前に提出されていた資料をもとに、過去の状況についても確認されていました。

また、平均利用者数や、事業所が算定している加算についても確認が行われていました。

加算については、実際の人員配置や運営状況などが要件を満たしているかという点も重要になります。

そのため、日頃から「現在算定している加算の要件を満たしているか」を確認しておくことが大切です。


研修は「実施したか」だけではなく、実施方法も確認される

年間の研修計画については、計画を作成しているかだけではなく、実際にどのような方法で研修を行っているのかについても確認されていました。

今回の運営指導では、書類を確認するだけでなく、口頭で、

  • どのような方法で研修を実施しているか
  • 職員は研修に参加しているか
  • 参加できなかった職員にはどのように対応しているか
  • 研修の内容を職員にどのように共有しているか

といったことについて確認が行われていました。

特にBCPに関する研修についても、研修の実施状況や、参加できなかった職員への対応などが確認されていました。

研修については、「研修記録が残っているか」だけではなく、実際に職員へ必要な内容が伝わるように取り組めているかという視点でも確認しておくとよいでしょう。


議事録やBCPなど、必要な書類も確認

研修だけでなく、会議等の議事録についても確認されていました。

また、BCPについても、必要な書類が整っているか、研修などの取り組みが行われているかといった点が確認されていました。

制度上必要とされている取り組みについては、

「書類を作成する」
→「実際に取り組む」
→「その記録を残す」

というところまで確認しておくことが大切です。


虐待防止・身体拘束・ヒヤリハットも確認

虐待防止や身体拘束についても、取り組みの状況が確認されていました。

具体的には、

  • 虐待防止に関する取り組み
  • 身体拘束に関する取り組み
  • 実際に事例があったか
  • 事例があった場合に記録が残っているか
  • ヒヤリハットの記録

などです。

こうした取り組みは、必要な体制を整えるだけでなく、実際に事業所の中で取り組み、その内容を記録として残しておくことが重要です。

前回のコラムで解説した「虐待防止委員会」についても、日頃から取り組み状況や記録を確認しておきたいところです。


受給者証や個別支援計画も確認される

利用者に関する書類では、

  • 受給者証
  • 個別支援計画

などについても確認が行われていました。

特に個別支援計画については、今回の運営指導で一つ具体的な指摘がありました。

個別支援計画の原案への同意について

今回の事業所では、完成した個別支援計画について、利用者や家族から署名をもらっていました。

しかし、運営指導では、それだけではなく、個別支援計画の原案についても、利用者や家族から文書で同意を得たことが分かるようにしておく必要があるという指摘がありました。

事業所側も、これまで他の事業所で何度か運営指導を受けてきたものの、この点について指摘されたのは初めてだったとのことです。

このように、同じ個別支援計画に関する書類でも、どの段階で、どのような手続きが行われているのかまで確認されることがあります。


運営規程と重要事項説明書の内容も確認

今回の運営指導では、運営規程と重要事項説明書の内容に整合性があるかという点も確認されていました。

例えば、

  • 営業時間
  • サービス提供時間
  • 利用定員
  • サービス内容
  • その他、事業所の運営に関する記載

などについて、書類同士で内容に相違がないかを確認します。

記載の言い回しが多少異なっていたとしても、内容として同じことを示していれば問題とならない場合もあります。

一方で、

運営規程と重要事項説明書の内容が異なっている
書類に記載されている内容と実際の運営が異なっている

という状態になっていないかは、日頃から確認しておくことが大切です。


「書類がある」だけではなく、実際の運営との一致が大切

今回の運営指導を通して、特に印象的だったのが、一つの書類だけを見るのではなく、複数の資料を照らし合わせながら確認されていたことです。

例えば、

勤務表
↓
タイムカード

のように、勤務表に記載された内容と実際の勤務状況を確認します。

また、

運営規程
↓
重要事項説明書
↓
実際の事業所の運営

というように、書類同士、そして実際の運営との整合性も確認しておく必要があります。

さらに、研修についても、研修計画や記録を確認するだけではなく、「実際にはどのように研修を行っていますか?」といった口頭での確認が行われていました。

そのため、運営指導に備える際には、

「必要な書類が全部あるか?」

だけではなく、

「それぞれの書類に書かれている内容は一致しているか?」

「書類に書いてあるとおりに、実際に運営できているか?」

という視点で確認することが大切です。


運営指導の前に確認しておきたいポイント

運営指導を受ける前に、次のような点を確認してみましょう。

人員・勤務関係

□ 勤務表と実際の勤務状況に相違がない
□ タイムカード等と勤務表を照合している
□ 資格証・研修修了証等を整理している
□ 雇用契約書を確認できる状態にしている

報酬・加算関係

□ 平均利用者数を確認している
□ 算定している加算の要件を満たしている
□ 加算に必要な記録等が残っている

研修・会議関係

□ 年間研修計画を作成している
□ 計画に沿って研修を実施している
□ 研修の実施記録を残している
□ 参加できなかった職員への対応を決めている
□ 必要な会議・委員会等の記録を整理している

各種制度上の取り組み

□ BCPに関する必要な取り組みを実施している
□ 虐待防止に関する取り組みを実施している
□ 身体拘束に関する取り組みを確認している
□ ヒヤリハット等を記録している

利用者関係

□ 受給者証を確認・管理している
□ 個別支援計画の作成・説明・同意・交付の流れを確認している

書類の整合性

□ 運営規程と重要事項説明書の内容が一致している
□ 各種書類の記載と実際の運営に相違がない
□ 書類同士の内容に矛盾がない


まとめ

運営指導では、さまざまな書類や記録が確認されます。

しかし、今回実際に運営指導に参加して感じたのは、「書類があるか」だけではなく、「その書類に書かれている内容が、実際の事業所運営と一致しているか」という視点が重要だということです。

勤務表とタイムカード、運営規程と重要事項説明書、研修計画と実際の研修など、複数の資料を照らし合わせながら、日頃の運営状況が確認されます。

また、書類を確認するだけではなく、実際にどのように運営しているのかについて、口頭で確認されることもあります。

運営指導が決まってから慌てて書類を確認するのではなく、日頃から「実際の運営と書類が一致しているか」を確認しておくことが、運営指導への備えにつながります。

「書類はそろっているけれど、内容まで確認できているか分からない」
「現在の事業所運営に、書類との相違がないか確認したい」

という場合には、まず現在の事業所の書類や運営状況を一つずつ確認してみてはいかがでしょうか。


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この記事を書いた人

岐阜・大阪・名古屋に拠点を構え、「できない」ではなく「どうすればできるか」を徹底的に考える行政書士法人。建設業許可や産業廃棄物許可などの許認可申請、太陽光発電施設の名義変更、外国人ビザ申請(実績1,000件超)を中心に、複雑な行政手続きをワンストップでサポートしています。

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