虐待防止措置未実施減算とは?「虐待がなければ大丈夫」ではない理由と確認ポイント

「うちの事業所では虐待なんて起きていないから、虐待防止については問題ない」

このように考えている事業所もあるかもしれません。

しかし、障害福祉サービスでは、実際に虐待が起きているかどうかとは別に、虐待を防止するために事業所として取り組むべき措置が定められています。

そして、必要な措置を実施していない場合には、報酬上の「虐待防止措置未実施減算」の対象となることがあります。

この記事では、虐待防止措置未実施減算の基本的な考え方と、事業所で確認しておきたいポイントについて解説します。

目次

虐待防止措置未実施減算とは?

虐待防止措置未実施減算は、障害福祉サービス事業所等において、虐待の発生や再発を防止するために必要な措置が実施されていない場合に、基本報酬を減算する仕組みです。

令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定で創設され、所定単位数の1%が減算されます。

ここで重要なのは、虐待防止措置未実施減算は、虐待が実際に発生したかどうかではなく、必要な虐待防止措置を実施しているかどうかに着目した減算だということです。

一方で、実際に虐待が発生した場合には、事案の内容に応じて、指定権者による指導や処分など、別の対応が行われることがあります。

つまり、

虐待が発生した場合の対応と、虐待防止措置未実施減算は別のもの

として考える必要があります。

そのため、

「虐待が起きていない」
=
「虐待防止の取り組みをしなくてもよい」

ということではありません。

虐待が起きていない事業所であっても、日頃から必要な虐待防止措置を実施しておくことが重要です。

事業所に求められる虐待防止の取り組み

虐待防止措置として、事業所では主に次のような取り組みが求められています。

1.虐待防止委員会を年1回以上開催する

事業所では、虐待防止のための対策を検討する委員会を設置し、年1回以上開催することが求められています。

また、委員会で検討した内容については、従業者に周知徹底することも必要です。

そのため、

「委員会は設置してあるけれど、1年以上開催していない」

「開催はしているけれど、検討した内容を職員に周知していない」

という状態になっていないか確認しておきましょう。

委員会については、単に「設置した」というだけではなく、実際に開催し、虐待防止について検討し、その内容を職員に共有することが重要です。

2.虐待防止研修を年1回以上実施する

従業者に対しても、年1回以上、虐待防止のための研修を実施することが求められています。

「研修を実施しているから大丈夫」と思っていても、前回の研修から1年以上経過していないか確認してみましょう。

また、研修を実施したことが分かるよう、実施日や内容、参加者などの記録を残しておくことも重要です。

新しく職員が入った場合などについても、事業所の状況に応じて必要な研修を実施できるよう、対応方法を確認しておきましょう。

3.虐待防止のための担当者を置く

虐待防止の取り組みを適切に実施するため、虐待防止のための担当者を置くことも求められています。

ここで注意したいのが、「誰が虐待防止について担当するのか」が事業所内で明確になっているかという点です。

事業所によっては「虐待防止措置責任者」という形で整理している場合もありますが、自治体によっては、責任者とは別に担当者の配置について確認が必要となる場合もあります。

そのため、責任者を置いているだけで安心するのではなく、指定権者や自治体の取扱いも確認しながら、自事業所で必要な体制が整っているか確認することが大切です。

\プチメモ/ 虐待防止委員会のメンバーはどうする?

「虐待防止委員会を設置する」といっても、

「誰をメンバーにすればいいの?」

と迷うこともあるかもしれません。

委員会の構成や役割については、事業所の規模や体制なども踏まえて整理する必要があります。

また、自治体によって確認が必要となる事項が異なる場合もあります。

虐待防止委員会の具体的な構成メンバーや役割については、別の記事で詳しく解説します。

「研修はしているから大丈夫」ではない?

虐待防止について確認するとき、意外と見落としやすいのがこの部分です。

例えば、

  • 年1回以上、虐待防止研修を実施している
  • 職員に虐待防止について説明している
  • 虐待が起きたことはない

という事業所でも、

虐待防止委員会を設置し、年1回以上開催しているか

委員会で検討した内容を職員に周知しているか

虐待防止のための担当者が明確になっているか

といった点まで確認すると、十分に対応できていないケースがあります。

虐待防止は、「研修を一度やれば終わり」というものではありません。

委員会の開催、研修、担当者の配置など、それぞれの取り組みを継続して実施していくことが重要です。

実施したことを確認できる記録も残しましょう

もう一つ確認しておきたいのが、**「実施したことを確認できる記録があるか」**という点です。

例えば、虐待防止委員会を開催したのであれば、委員会の議事録を作成し、

  • いつ開催したのか
  • 誰が参加したのか
  • どのような内容を検討したのか
  • どのような対応をすることになったのか
  • その内容を職員に周知したか

などを記録として残しておくことが重要です。

研修についても、実施日や研修内容、参加者などが分かる研修記録や受講記録を残しておきましょう。

「やったつもり」になっていないか、実施したことを説明できる状態になっているかまで確認しておくことが大切です。

一度、自事業所の虐待防止体制を確認してみましょう

次の項目に当てはまるものがないか、一度確認してみてください。

□ 虐待防止委員会を設置している

□ 虐待防止委員会を年1回以上開催している

□ 委員会で検討した内容を職員に周知している

□ 虐待防止研修を年1回以上実施している

□ 研修の実施記録を残している

□ 虐待防止のための担当者が明確になっている

□ 虐待防止に関する指針や事業所内のルールを確認している

□ 委員会や研修などの記録を整理している

特に、

「研修はしているけれど、委員会についてはよく分からない」

という場合は、一度確認してみることをおすすめします。

また、虐待防止に関する具体的な取扱いや担当者の配置については、自治体によって確認が必要となる場合があります。

虐待がないことと、虐待防止措置を実施していることは別

虐待防止については、

「うちでは虐待なんて起きていないから大丈夫」

と考えてしまいがちです。

しかし、事業所に求められているのは、虐待が起きていないという結果だけではありません。

虐待を防止するための仕組みを整え、継続して取り組んでいることが重要です。

委員会、研修、担当者の配置など、一つひとつの取り組みを確認し、実施した記録まで含めて適切に管理しておきましょう。

虐待防止措置未実施減算は、知らないうちに対象となってしまうことを防ぐためにも、日頃から事業所の体制を確認しておきたい減算の一つです。

「自分の事業所はこれで大丈夫なのか?」

「委員会や研修の実施方法を確認したい」

「必要な体制が整っているか整理したい」

という場合は、行政書士などの専門家に相談しながら確認する方法もあります。

次回のコラムでは、虐待防止委員会について解説します

虐待防止措置の一つである「虐待防止委員会」。

「委員会というけれど、どのような体制にすればいいの?」
「小規模な事業所でも、大がかりな委員会が必要なの?」
「職員会議などと一緒に開催してもいいの?」

このように、実際の運営方法について疑問を持つ事業所もあるかもしれません。

次回のコラムでは、「虐待防止委員会とは?小規模事業所でも押さえておきたい開催・運営のポイント」と題して、委員会の役割や開催方法、小規模な事業所でも取り組みやすい運営方法について詳しく解説します。

ぜひ、あわせてご覧ください。

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この記事を書いた人

岐阜・大阪・名古屋に拠点を構え、「できない」ではなく「どうすればできるか」を徹底的に考える行政書士法人。建設業許可や産業廃棄物許可などの許認可申請、太陽光発電施設の名義変更、外国人ビザ申請(実績1,000件超)を中心に、複雑な行政手続きをワンストップでサポートしています。

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